表紙 大日如来坐像〈国宝〉 円成寺 多宝塔 運慶作

1・2月

室生寺金堂 十二神将立像のうち、巳神(安底羅大将)像
鎌倉時代 木造・彩色  像高100.0㎝ (重文)
十二神将は薬師如来の浄瑠璃浄土を守り、また薬師を信奉する人々を守護するため、甲冑を着け武器を手にした忿怒の姿の護法神である。室生寺では金堂の本尊など五仏を安置する壇の前面に一列に並べた状態で安置され、これはその中の一体で刀を手に片手をかざした自由な姿が面白い。十二神将は薬師が如来となるために立てた十二の誓願に基づき、十二の方角や時刻の守護に当る力強い神々であったが、中国で十二支と習合し、我が国では平安後期から頭上に十二支の頭部を付けるようになり、この像はそうした時期の名品である。
(金堂諸仏特別拝観:3月16日~ 4月21日、7月13日~ 8月31日、11月2日~ 12月15日)

3・4月

興福寺南円堂 不空羂索観音菩薩坐像
鎌倉時代 康慶作 木造・漆箔  像高336.0㎝ 〈国宝〉
西国三十三所第九番札所として知られる南円堂は、弘仁四年(813)藤原冬嗣が父内麻呂の供養の為に建立、本尊は講堂から移座した天平の観音像とも云う。だが治承四年(1180)他の堂宇とともに平家の兵火により焼亡。旧像を熟知していた康慶(運慶の父)がこれに出来るだけ忠実に復興したのがこの像だが、溌剌とした作風には鎌倉復興期の気運を物語る力強さをも感じさせる。南円堂は創建以来四度目の建築で今は寛保元年(1741)の建立であるが、本尊の保存は良く、精緻で華麗な光背や豪華な蓮華座も見事である。
(南円堂創建1200年記念特別公開:4月12日~6月2日/10月17日)

5・6月

旧妙観寺観音堂 十一面観音菩薩立像
平安時代後期 木造・素地  像高245.0㎝ (重文)
妙観寺は大和平野のほぼ中央、天理市西井戸堂の中ツ 道に面した山邊御縣坐神社(式内大社)の境内にある元の神宮寺で、このすらりとした長身の観音像が本尊である。楠木の寄木造であるが体内には210cmに及ぶ桧の心木があり、これが破損した奈良時代の塑造仏の心木で、平安後期にこれを中心に囲んで造像した珍しい鞘仏だが、柔和な表情や優しい肉付け、流れるような衣文が美しい。台座には元の像の桧材が残り、そこに地蔵の持つ錫杖の穴があることから、本来は観音と地蔵が合体した長谷式十一面観音であったようだ。
(拝観:1週間前までに奈良県天理市西井戸堂町自治会へ連絡要)

7・8月

東大寺知足院 地蔵菩薩立像
鎌倉時代 木造・彩色・截金  像高97.2㎝ (重文)
知足院は東大寺境内の北端、天平の礎石が点在する講堂跡の背後の丘上にあって、天然記念物「奈良の八重桜」があることで知られる塔頭である。本堂中央の厨子に納められたこの像は、春日の本地仏として、また美しい霊験地蔵として古来信仰篤く、理知的な相貌が見事な彩色や截金と相まって心に響く名品である。構造は鎌倉期には珍しく、一木を粗彫りしたあと前後に割り、内刳りを施したあと接着して仕上げる一木割矧造りで、こうした技法は霊木を用いた為とも思われる。造像年代は建長三年(1251)頃と推定されている。
(拝観:7月24日午前8時から営まれる地蔵会法要後から午前11時頃まで)

9・10月

如意輪寺 蔵王権現立像
鎌倉時代 源慶作 木造・彩色  像高84.8㎝ (重文)
吉野山の谷を隔てた東側の山腹にある如意輪寺は南朝の勅願寺。本尊の吉野八所明神を描いた春日厨子に安置されたこの像は、嘉禄二年(1226)運慶の弟子源慶の作。権現とは神仏が衆生救済のため権の姿で現われることで、役小角が吉野山中で修行中、祈念によって釈迦などの三尊が現われ、やがて霊験によって魔性を懲らす大忿怒の姿となったとされる。この姿の権現像は金峯山寺蔵王堂の三尊を初め各地でも造像されたが、なかでもこの像は吉野では最古の優作として知られ、また後醍醐天皇の念持仏であったと伝えられる。

11・12月

円成寺 大日如来坐像
平安時代後期 運慶作 木造・漆箔  像高98.2㎝ 〈国宝〉
円成寺多宝塔の中央に安座するこの像は、台座の天板裏に記された銘文によって運慶が二十歳過ぎの安元二年(1176)、約一年をかけて造像したものであることが分かる著名な作品である。作風は如何にも若々しく青年運慶の気概を思わせるものがあるが、完成度の高さは恐らく父康慶の指導によるものであろう。大日如来は密教の主尊とされる太陽の仏で、この像のような両手を胸前で組む印相を智拳印と云い、金剛界の大日如来であることを表すが、奈良の東方、日の昇る春日山の東、柳生に近い奈良の東郊に太陽の仏が坐ますのが興味深い。



  • 1・2月
  • 安底羅大将立像(巳神)
    (重文)
    室生寺 金堂
  • 3・4月
  • 不空羂索観音菩薩坐像
    〈国宝〉
    興福寺 南円堂 康慶作
  • 5・6月
  • 十一面観音菩薩立像
    (重文)
    旧妙観寺観音堂
    (山邊御縣坐神社)
  • 7・8月
  • 地蔵菩薩立像
    (重文)
    東大寺 知足院
  • 9・10月
  • 蔵王権現立像
    (重文)
    妙意輪寺 宝物館 源慶作
  • 11・12月
  • 大日如来坐像
    〈国宝〉
    円成寺 多宝塔 運慶作